次の日、私はいつも通り学校に行った。


どうなるかは何となくわかってた。
どの学年にも人気のある、佑斗に告白、そしてフったのだから、佑斗がいないところで、嫌がらせされることは目に見えていた。


それは朝、学校に着いてすぐだった。
私の下駄箱は悲惨なことになっていた。


“バカ”
“死ね”
“ブス”
“佑斗は皆のものなのに、まじサイテー”


そんなようなことが下駄箱にびっしり綴られていた。
そして、私の上履きは、履けるような状況ではなくなっていた。


私はそれを自分の手で綺麗にしようと、濡れ雑巾を持ってきて、拭いていると、そこに佑斗が現れた。


「おはよう、岩…っておい!
なんだよそれ!」


「ああ、おはよう。佑斗。
気にしないで!こんなこと、わかってたことだよ…。」


わかってたことだけど、結構きつい。
もしかして私、イジメに耐えきれなくなって、自殺するのかな…。


「俺のせい…なんだよな…」


「そんなことない…。
だって、わかってたこと。
佑斗を好きになるってこういうことだって、覚悟してたから。
ただ、私が月夜を好きになるなんて思わなかったけど。」


「いや、俺が悪いんだ。
俺が、あんな場所で告白したから。」


「ごめん、岩本。
あと、これデカいけど…」


佑斗はそう言うと私に自分の上履きを差し出した。


「大丈夫だよ!裸足でもなんとかいけるし…!」


「いや、これ履いとけ。
それと、俺がこんなこと止めて見せるから。…大事な友達として。」



佑斗…。


「ありがとう。」


私は佑斗からブカブカの上履きを受け取ると、それを履いた。


佑斗は、“また一緒に教室に入ると危ないし、一人で歩かせても危ないかも知れない”と私の少し後ろを守るように歩いてくれた。


佑斗の優しさに、胸が温かくなった。


ありがとう、佑斗。