“また連れて逝くときに会おうぜ”
月夜はそう言い残し、私の前から姿を消した。


「月夜のばーか。」


突然現れて、突然消えて。
あんなに迷惑な奴だったのに、月夜と過ごす日々は、本当に楽しかった。


佑斗も月夜も、こう言った。
“月夜さんのことが好きなんだろ?”
“俺のことが好きなんだろ?”


…私は、自分の気持ちに嘘をついているの?


ついさっきまで、月夜の寝ていたベッドをふと眺めると、そこには前に私がプレゼントしたネックレスが置かれていた。


忘れていったのか、わざと置いていったのか…。


広いベッドにポツンとネックレスだけが目に入り、なんだか悲しい気持ちになってしまった。


「…大好き…だよ、月夜…」


口に出すと、色んな感情がこみ上げてきた。


たくさん迷惑かけられたけれど、楽しかった。
月夜と行った遊園地がとても楽しかった。


気づいたら、佑斗より月夜といる方が楽しいと思ってる私がいたんだ。


「…好き…だよ。」


誰もいない部屋の中、私の呟きだけがやけに大きく響いている気がした。


気づいたら、私の頬に涙が伝っていて…
久しぶりの静かな夜を私は泣きながら過ごした。