浮上力のない人間が空を飛ぶと、不思議な感覚に襲われる。

ふわふわしていて、まるで夢の中に居るようだ。

「可愛い可愛いヘルメーンさんっ、私に見せたいものってなぁに?」

高さに圧倒されながらも、怖さを吹き飛ばした。

「可愛いとか言うな!!」

褒めた勢いでこれでもかってくらいの高さまで行った、浮上してる吸血鬼や妖精達はあまり居ない。


「高いよ…」

流石に我慢出来ない高さだ。

「これだよ音色に見せたかった景色」


「こんなの見たくないよーっ」

「ちょっと音色、暴れないでください」

「きゃーっ危なっ!!い…」


危うく落ちそうになってしまった。

「本当何やってるんですか。」


「うん…」

「きた!!!!」

音色は奏斗に睨まれてるなか、ヘルメンが大声で叫んだ。

すると、前方向から一線の光が3人に伸びた。


「眩しい」

目を細め3人に負けじと光太陽の色は街のパステルカラーと共に鮮やかに見える。

少し目に差し込む光の加減が良くなった時。


「わぁ〜!!凄い!!何これ!」

太陽の光は細かい雲の切れ間から、何本も一直線に伸びた。

まるでスパンコールみたいな風景。


「綺麗ですね」

「うん…」

音色は無意識に奏斗への返事は「うん」しかしてないのに気付いた。


奏斗の浮上時間と体力は平行になっていて限りがある。

「はぁ…」

「ひとまず下るぞ」

「えーっもう終わり?今始まったばかりなのにぃ!」

「うるせー俺が疲れたんだよ!」

ヘルメンは自分勝ってだと思いながら、奏斗の異変に気づいていなかった。