部屋に置いてある服を掴む。

「音色!!まだかぁ?」

「ちょっと待ってー」


例え奏斗が消えたとしても、何も変わらないと信じてるけど。


嫌いだった想いは虚しくなるかもしれない。


牙を刺された所が痛み顔を歪ませる。

「お待たせ」


「遅いです。どれだけヘルメンさんを待たせるのですか」

「うーるさいっ奏斗の服のセンスが悪いの!!」


「後でお仕置き覚えておいてください。
行きますよ」


「バカ!!嫌い」


またお仕置きの話しだ。
音色は、時が来るのを待っていた。
2人きりになる瞬間を。

鋭い目のままの奏斗の背中を着いていく。



「奏斗あのお方の様子どうだった?」


「何故かご立腹で、ヘルメンさんを早く連れてこいとのことです。」

「俺?!なんかしたかな…」


ヘルメンは音色と真逆なんだって事がわかった。

音色は怒られて反省したことがないから、怒ってると言われ恐れた事もない。

「大丈夫でしょー!怒られたらごめんなさいすればいいんだよー」


「音色!!あなたは投げやりにすれば何でもいいんですか?」

「知らない」


そしてヘルメンは口出しもしない。

いつだってヘルメンは中立な立場にも、味方にもならないんだ。

「あー腹減ったー!!」


「さっきトマトジュース飲みましたよね」

「うるせーうるせーお前のくれよ」

「後で買ってきますよ、では行きますか…」

家を出て外に行くと、空は一変して真っ青の空になっていた。

奏斗は音色に手を差し伸べる。
いつも人の方をめったに見ないヘルメンが真顔で音色を見ていた。

「わかったよ」


しょうがなく奏斗の手を握って飛んだ。

「今度は離さないで下さいよ」

「わかったって」

やっぱり奏斗のことは好きになれない気がする。
心から嫌いになることはヘルメンには悪いけどあるかもしれない。

出来るだけ心が騒がない様に押さえてるが…。


髪の毛を直すのが面倒だから、繋いでる手を強く握った。