自分の部屋に戻されて服を着替えるよう言われた。

あの小さなドアと敷地なのに、一部屋がこんなに広いなんて、まさに夢の世界だ。

最初はそう思った。


こんな始まり求めるなんて、あの日の自分は何を考えてたんだと思う。



あの日はいつになく真っ暗な空で、街に見たことなかったコウモリが飛び交っていた。

「なにあれ、きもー」

この頃歪な言葉が癖になってる。

音色は街中にある神社のアルバイトをしている。
巫女姿のまま階段を駆け下りた。

「俺コウモリは嫌いだ。部族が同じだとか言われっけど、あいつ等は肉を喰うからな…」

「人間の肉は召し上がらないですよね…ヘルメンさん…」

「わかんねーぞーお前の死に際はコウモリと共にかもな」


「冗談でも嫌です」

猫が空を飛んでる…。
凄く不思議な光景を目にした。

それに、目の丸い猫の口には2本牙が生えている。


街中で飛んでいるのに、歩く人達はコウモリにばかり目がいっている。

「あ?」


「な、なななんで…猫飛んでるの?」

その猫の横に居るのは、スーツ姿で眼鏡を掛けた背の高い人。

「とうとう出会いましたね!!」


嬉しそうに目を輝かせるスーツ。

「闇黒の魔…開け…」

突如、空が渦に巻き込まれたようにぐるぐる回る黒い光と、星屑の丸い波動が出てきた。


「うわぁ!!な…」

「さて行きましょうか」


呆然と立ち尽くす音色は、スーツ姿の男と不気味な猫に腕を引っ張られる。

空に向かって。


「ぃやーーーー!!!無理無理無理無理ぃー高いしなに!?!?」

「今時の若い子はうるさいですね〜」


「まだ子供だろ?」


話しを進める2人だが、音色は渦に吸い込まれる事に気を失いかけていた………。