妖精デジタるーと

契約した次の日、私を迎えに来た。


「音色、起きなさい」

「な…ぁに〜…」


「学校では無いのですか?」


「まだぁ、はやぁいよ〜」


「何を言っているんですか?ヘルメンさんに示しがつかないので、早く起きて下さい」


年頃の女子の部屋に無断で入ってきて、寝起きの女子の前で冷静に見てる奏斗。


「何とも思わない?」


「はい」


それよりも、何故迎えに来たのだろうか。

学校まで付きまとうのか…。

益々怪しく思えてきた。


「ヘルメン居ないじゃん!!」


「ヘルメンさんはまだ寝ていますが…、音色が学校から帰る頃、魔界に連れていかないとなりません」


「何で?」


「ヘルメンさんに指示されたので」


「あんたヘルメンに使われてるの?」

「奏斗です。
ヘルメンさん一家には先祖代々就く掟なので」

奏斗の表情は一切変わらず、どう思ってるかもわからなかった。


「そんな掟破っちゃえばいいのに〜第一私を迎えに来る理由もわからないし」


奏斗が初めて表情を変えてため息をついた。


「音色は中学生ですよね?そろそろ心を変えたらどうですか、子供とは違うのですから。
一緒に行動しなければヘルメンさんも音色も消えてしまいます。
後日詳しい事は魔王直々に説明があるので。」


ついこの間まで小学生だったけど、まだ子供を卒業した訳じゃない。


ボサボサになった頭を掻きながら、起き上がった。

「…着替えるから出てって」


説教混じりの話なら聞き飽きた。


ついこの間、親戚に子供が産まれて、遊んでいる時に怪我をさせてしまった事があった。


その時の、怒られるよりも呆れられたのが、凄い心に突き刺さったのだ。



ベランダに出た奏斗を見てカーテンを閉めた。


気にしないで学校に行こう。