妖精デジタるーと

地に降りると、古びた木で出来た家があった。

「すいませーん…」

パステルの世界では、珍しい家だ。
でも仕組みは一緒。

等身大に見えるが、中に入ると広い和風の部屋が一つ出てきた。


「誰かな」


部屋に声が響いた。

老人の低い声。

「どこ?」

右を向くと。

「こっち」

左を向くと。

「こっちじゃ」

右を向いて、また右を向く。

「いたぁ!!何でそっちに!!」


「何のご用かな?」

白い髭を顎に生やして、小さな眼鏡を掛けるおじいちゃん。

「あっ忘れてた〜水を恵んでください!!執事が倒れてしまって…」


「もう、大丈夫ですよ。お戻りなさい」

音色は後ろに瞬間移動したおじいちゃんの指差したドアの方を向いた。


体をおじいちゃんに向けると、もう居なくなっていた。

「み、ず」

奏斗の所へ戻った。

「音色、ヘルメンさん、ありがとうございます。」

「あれ、治ったの?」

さっきまで眼鏡を掛けていた奏斗は、眼鏡をスーツに掛けていた。


「何ですかぁ?その言い方は〜、まるで治って欲しくないような…」



あのおじいちゃん…何者だったんだろう。

いつの間に、奏斗は元気になっていた。


行動したい事をするのは難しい。

それを、何もしないで解決してしまった。

その事が何故か悔しかったから、行動しようと思った。


「そんな事ない!!
歩きたいから歩こう!!」

奏斗の、手を取り。
引っ張って歩いた。


「ちょっ」


自分でも、今思いもよらない事をしてる。

「音色なんか進歩したなっ」

「はっ?ヘルメンなに言ってるの!!可愛い顔して…」


「またぁ〜可愛いくねーってばっ」


相変わらず、褒めると弱いヘルメンだった。