【続】恋愛のやり直し方

「……なんで?」


私の手を握り、踵を返し元来た道を歩こうとする友田にかけた言葉は、これがやっとだった。



主語述語、その他もろもろ文法なんて成り立たない。


だけど、そんな私の不完全な言葉でも、友田はちゃんと読み取ってくれる。



「俺がココにいる理由?

綾の電波をキャッチするのが天才的に上手い副編集長さんがね、打ち合わせ中の会議室にノックなしで乗り込んできたの。

『偶然ロビーで生気の無い綾が突っ立ってる』って。血走った目で『アンタのせいか!』って掴みかかる勢いでね」



「え………」



友田に掴みかかろうとしたのは、間違いなく真理子だ。


「竜がさ何とか止めてくれたから、ここに無傷で参上できたってワケ。納得した?」




「うん……」



見上げたビルは、ミラー仕様の窓ガラスで、どの窓からも中が見えないんだけど、この中に私を心配しながら見つめる真理子がいるんだと思うと、申し訳なさでイッパイになる。