顔だけ上げると、そこには少し不安げな顔


絡み合う視線。




「綾?」



私の返事を待ちきれないとばかりに口を開いた友田。



この沈黙は、嫌だからってなわけじゃない。

ただ、不安げなレア友田を見ていたいと思ってしまったから。





そんな私の気持ちを知るハズもない友田は、あまりにも、無反応な私に少し不信な顔を向けはじめた。



ーーヤバい




そう思ったときには時既に遅し。
ニヤリと笑った不適な友田の顔。



あっという間に形勢逆転。



「あ……あの……」



「綾?俺決めたの。綾には拒否権なし!さっそく今晩からここに住んでもらいます」


「はぁ?だって、引っ越しは?」




聞こえてるハズなのに、「聞こえませーん」と耳を塞いでいる。



あーあ


完敗。




「わーかりました!ちゃんと引っ越しは手伝って下さいね」



「もちろん!」



「………」


やっぱり聞こえてるんじゃない。


こうして不器用ながら何とか前進できた。