側にあったスツールに、ドレスの裾に気を付けながら座ると、目の前に膝をついて屈み込む友田。


そして、手をそっと私の手に重ねる。





「俺もね、どうしてこんなに綾に惹かれたのかって聞かれると分からないよ。

だけど、初めて綾に会った時には、既にその瞳に俺を映して欲しかった。不思議だよね。運命なんて軽々しく言えないけど、これがそうなんじゃないかって思うよ」


「…ナオ。ありがとう」




「それとね、人の気持ちに敏感な所。人の事を自分の事よりも先に考えてしまう所。それは綾の良いところでもあり、心配な所でもある。

人知れず疲弊する綾の心が心配だった。

だから、俺は綾の安らぎの場所に成りたいと思ったんだ」




鼻の奥がツンとする。




ジワジワ涙腺が熱くなる。




どんな甘い言葉よりも、私の心の奥深くに刻まれる。



誰よりも先に私の事を心配し、安らげる場所になってくれていたのは、紛れもなく友田直樹という人だ。




彼がいたから今の私がいる。
彼と出会えてなかったら、今頃私は壊れた人間になっていたかもしれない。