【続】恋愛のやり直し方

「竜、トイレはあっちのドアから出た方が近いよ」



顎をクイッとそちらの方に向ける。




「えっ?あ…そうか。アハハ……じゃあ、行ってきます」



回れ右して引き返そうとする竜くん。




「竜、お前知ってたよな?さっき、あっちの扉から入ってきたもんな」





後ろ向きの竜くんの背中がピクリとして止まる。




「竜」



「すみませんでした」





振り返ると同時に体を真っ二つに折り曲げて謝る竜くん。





「綾が嫌がることはするな」



「はい」





シュンと音が出たように萎れる竜くん。


ちょっとかわいそうに思える。





「綾が同情することないでしょ。竜には坂下さんがいるんだから」



「……」




なんで私の心が分かるんだろう。


驚いて友田を見上げると、機嫌が悪いのを全面に出した顔をしている。





「綾は俺だけ見てればいいの。俺の奥さんなんだから」



「………」