【続】恋愛のやり直し方

嵐のように斎藤さん真理子と竜くん……それに父の4人は、あっという間に去っていった……



パタンとドアが閉まると、つい数分前の賑やかさが嘘の様に部屋は、シーンと静まり返った。




残ったのは、母一人。





先ほどまでの陽気な会話の後に訪れた突然の静寂。



どうしていいのか分からず、少し構えた私を察してか、沈黙を破ってくれたのは母だった。





「綾、キレイよ。キラキラしてて眩しいほど」



「……あ、うん。ありがとう」




目を細めて言う母は、視線を逸らすことなく眺めている。



その視線がくすぐったくて、照れ笑いをしながら視線を背後の鏡へと向ける。




鏡越しにぶつかる母との視線。





「いつの間にか大人になっちゃってた」


「……」



「もっといっぱい甘えたかっただろうに……ごめんね」


「……お母さん」



「いいお母さんじゃなかったのに、こんなに真っ直ぐ育ってくれてありがとう」




そっと肩に添えられた母の手は、温かい。




『いいお母さんじゃなかった』って言葉を否定したいのに、ジワリと込み上げてくるものに、声が出ない。



フルフルと首をふるだけ。