紺野さんの腕が緩み、お互いに顔を合わせると、顔を赤らめて照れた顔でガシガシ頭を掻く姿にプッと吹き出してしまった。



「参ったな」と照れる紺野さんを眺めながら、この人の血が私に流れてるんだと思ってはみたものの、実感は湧かなかった。



それは紺野さんも同じ様子で、私たちはぎこちなく笑いあった。




その後も母の話は続き、私の戸籍上の父親である田代さんは、私への暴行で逮捕されはしたものの、執行猶予となり、その後は母も連絡が取れない状況だったらしい。




だけど、病院に救急搬送された患者が田代さんだったという偶然か必然かの再会を果たした。



その頃は既に発病してたらしく、余命数ヶ月という状態で、最期の時間を看取ろうと決意した母の申し出を断り、実家近くの病院に転院していったらしい。




そのわずか数週間後に逝ってしまった。



親族からの連絡で母が駆け付けると、意識のない彼が、うわ言のように私への謝罪の言葉を口にし、


そして、それが最期の言葉だったそうだ。