母が話した私の出生秘話は、それまでの人生をグラつかせるには十分なもので、ショックを受けたのは間違いない。



だけど、衝撃的過ぎて上手く理解できずに、まるで他人の話のような気持ちでもいた。






私以上に、紺野さんは動揺していた。

なにせ、色んな過程を吹っ飛ばして、いきなり私のような子どもの父親になってしまったのだ。





なのに、誰よりも私の事を心配してくれて、力一杯私を抱き締めてくれた。



そして──




「君が産まれてきてくれて良かった」





優しい声でそう言った。



その言葉を聞いた瞬間、目の前がパッと明るくなった気がした。




ずっと望まれた命じゃなかったとの思いを否定した言葉が




ジワジワと温かさを伴って体を巡っていく。




そして、あぁ私が欲しかった言葉はこれだったのか。とストンと収まるところに収まった。