「ち、ちょっとその先、待って」
私の制止に小さく頷き応じた母は、申し訳なさそうな顔を私に向けた。
『嘘をついたの』
あまりにも唐突過ぎて、私の体にその言葉が収まってくれない。
どんな嘘なのだろう。
母の顔つきからして、軽く水に流せるような類いのものではなさそうな予感はする。
ドクンドクンと大きく脈打つ心臓。
足はしっかりと床に付いているのに、まるでグラグラと揺れる不安定なものの上に立っているような感覚。
母の次の言葉を待つ自分と、聞くのが怖い自分。
そんな私の不安を和らげるようにポンポンと背中を撫でてくれた友田。
触れたそこからジワジワと温かさが広がっていく。
それに比例して心許なかった足元がしっかりしてくる。
そして……聞く覚悟ができた。
「ごめんなさい。もう大丈夫。続けて」
真っ直ぐ母を見つめる私の視線は、もう逸らさない。
しっかり母の顔を見て聞こう。そう思った。
私の制止に小さく頷き応じた母は、申し訳なさそうな顔を私に向けた。
『嘘をついたの』
あまりにも唐突過ぎて、私の体にその言葉が収まってくれない。
どんな嘘なのだろう。
母の顔つきからして、軽く水に流せるような類いのものではなさそうな予感はする。
ドクンドクンと大きく脈打つ心臓。
足はしっかりと床に付いているのに、まるでグラグラと揺れる不安定なものの上に立っているような感覚。
母の次の言葉を待つ自分と、聞くのが怖い自分。
そんな私の不安を和らげるようにポンポンと背中を撫でてくれた友田。
触れたそこからジワジワと温かさが広がっていく。
それに比例して心許なかった足元がしっかりしてくる。
そして……聞く覚悟ができた。
「ごめんなさい。もう大丈夫。続けて」
真っ直ぐ母を見つめる私の視線は、もう逸らさない。
しっかり母の顔を見て聞こう。そう思った。

