【続】恋愛のやり直し方

「ごめんなさい。私……本当にあなたに……そして綾にも酷いことを……」


母の目から大粒の涙が溢れ出した。





そんな母の背中を優しく擦る紺野さんの目はとても穏やかだ。



「いいんだよ、雅ちゃん。もう随分前の事だ」



「違うの……本当にごめんなさい。あの時、どうしてあんな……」




顔を覆う母の手をゆっくりと外す紺野さん。



「確かに、君と田代くんが帰国した後は随分荒れたよ。

愛する人と、かわいい後輩にいっぺんに裏切られたんだからね。だけど、もう随分昔の話だよ」



紺野さんの優しい声にも、母の涙は止まらない。



首を振り続ける母の姿に、少しだけ違和感を感じる。





「違うの……違うのよ」




「雅ちゃん?」




紺野さんも母の反応が疑問に感じたようで、声色が変わる。



「あの時、あなたから、あの環境を奪いたくなかった……あなたの志を全うして欲しかったの。たとえ側で見守ることが出来なかったとしても……

だから──





──嘘をついたの」