静かに閉まるドアの音がやけに大きく響いて聞こえる。
コツンという友田の足音がその音に混じり、背後に近づいてくる。
それと共に、困惑している母の視線も私の体を通り越し、友田の方へ向けられたのは分かったけれど、今は友田を紹介することよりも、隣に立つ人の事を知りたい。
友田を紹介することは、家族の中での大切な儀式みたいな事だと私が思うから。
「お母さん?」
黙る母をもう一度促すように呼んでみる。
早いところ、この人の存在を明らかにして、退席してもらいたい。
すると、母が深いため息をひとつ吐き、何かを決心したように大きく頷いた。
「綾、そちらがあなたの大切な方ね」
「……」
「……はい。友田と申します」
母が私の質問に答えず、話を友田の方へ向けたのに納得いかず黙っていると、見兼ねたのか、友田が一歩前に出て、母に名乗った。
「友田さんね。あなたが今日ここへいらっしゃったのは、どんなご用件ですか?」
「お母さん。それより──」
コツンという友田の足音がその音に混じり、背後に近づいてくる。
それと共に、困惑している母の視線も私の体を通り越し、友田の方へ向けられたのは分かったけれど、今は友田を紹介することよりも、隣に立つ人の事を知りたい。
友田を紹介することは、家族の中での大切な儀式みたいな事だと私が思うから。
「お母さん?」
黙る母をもう一度促すように呼んでみる。
早いところ、この人の存在を明らかにして、退席してもらいたい。
すると、母が深いため息をひとつ吐き、何かを決心したように大きく頷いた。
「綾、そちらがあなたの大切な方ね」
「……」
「……はい。友田と申します」
母が私の質問に答えず、話を友田の方へ向けたのに納得いかず黙っていると、見兼ねたのか、友田が一歩前に出て、母に名乗った。
「友田さんね。あなたが今日ここへいらっしゃったのは、どんなご用件ですか?」
「お母さん。それより──」

