【続】恋愛のやり直し方

母が申し訳なさそうに静かに言う。



「うん」

母が大きな声を出した記憶は数回しかない。
今思えば、それはとても大変なことだったと思う。


怒鳴り付けたいこともあったと思う。そんな時も母は静かに諭してくれた。



子どもを気遣う気持ちがもちろん一番なんだろうけど、今にして思えば、それは母自身が自分に課した償いであったのかもしれない。



いつだったか、叔母が母に「いつまで自分を責め続けるのか」と聞いていたこのが、漏れ聞こえてきたことがあった。



その時母はきっぱりと「一生よ」と言ったんだ。



『どんなものからも守らなくちゃいけない母親である私が、半年もあの子の恐怖に気づいてあげられなかったのよ。

僅か4年しか生きてない綾にとって半年ってどれだけ長い時間だったことか……」



涙を堪える母のくぐもった声をそれ以上聞いていられなくて、その場から逃げた。



あの時、駆け寄って母に責める必要はないって伝えれば良かったと後悔した。


その後悔は未だにこうやって時々思い出される。