【続】恋愛のやり直し方

「だって、ありがとうって言えなかった」



「あぁ、そんなこと」




クスリと笑う友田。



大人として……ううん。人間として恥ずかしい。
一瞬の怒りで基本的な挨拶すら忘れてしまったことが。



「それをいうなら、俺の方こそごめんね。綾に嫌な思いさせちゃったね」



「そんなことないよ。私が勝手に──」



「いや。俺は慣れてるけど、綾にとっては苦痛だったね」



立ち止まる私の手を取り、もう一方の手で柔らかく撫でる


私を気遣う彼は、ひどく困った顔をしている。





困らせたいわけじゃないのに……





「いいの。私が勝手に気分悪くなっただけだし。大丈夫、きっと慣れて気にならなくなるから」




握られた手を今度は私が力一杯握り返す。

友田が悪いんじゃない。
自分を責めたりしないでほしい。




「綾……ありがとう。でもね、慣れなくてもいいよ。綾にはそのまま普通な感覚を持っていてもらいたい。

そのために俺は全力で綾を守るよ」



凛とした表情の友田に、ジワリと胸が熱くなる。