完全にとはいかないまでも、思いきり泣いた後はスッキリしていた。




友田と新しい生活が始まるのだと思ったら、ワクワクする気さえしてくる。



──ちょっとポジティブ過ぎるかな?



時計も携帯も待たずに出てきてしまったため、どの位時間が経っているのか分からなかった。




『1時間で戻ってこい』




友田から家を出る前に言われた約束は、破ってしまっているだろう



それに、1メートル以内に近寄らないってのも破ってる……




私のわがままを聞いて送り出してくれたのに、それをこんな簡単に破ってしまうなんて……




相変わらず考えなしの行動をとる自分に叱責したいのをグッとこらえ、取り合えず今は1秒でも早く友田の元に帰ろうと走り出す。



日頃の運動不足から、すぐに息がきれて苦しい。



だけど、足を止めるわけにはいかない。




道の向こうに我が家が見える。
玄関前に停めてある車を見つけてホッとする。




──良かった……帰ってない



友田が呆れて帰ってしまっているとは思わないけれど、でも、この目で確認するまではどこか不安だった。