【続】恋愛のやり直し方

突然のことに驚いたのは、立花さんだけじゃなかった。



掌に伝わる立花さんの頬の温かさを感じて、はっと我に返る。




「ごめんなさいっ」



慌てて引っ込めようとした手を素早く立花さんが掴み、再び自分の頬へとあてる。



「綾の手温かいな…」



ボソリと呟き瞳を閉じる立花さん。




立花さんの頬の方が私の手よりずっと温かいのに……




たけど、その表情はすごく穏やかで、本当に温かさを堪能しているように見える……



もしも、束の間だけど、彼の安らげる時間になればいい。


ふと、そんな気持ちがわき起こり、しばらくじっと動かずにいる。









「立花さん……」


「うん?」




瞳を閉じたまま返事をする彼に、私は満面の笑みを浮かべ、私の本心がどうか伝わりますようにと思いを込めて





「私、立花さんに出会えて良かったです。

惰性で生きてきた私の人生を、こんなにも面白いものにしてくれた人の中に、間違いなく立花さんがいますから……」





そう言った。






「ありがとう……綾。好きだよ」