【続】恋愛のやり直し方

そんな顔させたい訳じゃないのに……



私が逃げた代償は、私自身ではなく、彼をこんなに不安にさせることになってしまった。




「大丈夫。どこにも行かないよ。ただ、携帯が何度も鳴ってたの。病院からだといけないと思って」



私ができることはこれたけ。




『どこにも行かない』




言葉と行動で伝え続けるだけしかできない。



私の言葉を聞き、苦笑した友田。




「別に綾がどこかに行っちゃうなんて思ってないよ。

それにさ――」


そこで言葉を切り、私の左薬指をツーっとナゾル。



自然とそこに収まるリングに視線が向く。



差し込む朝日にキラキラと反射する一粒大のダイヤ。




昨晩これをはめた時の友田の言葉を思いだし、一気に顔が熱くなる。



『結婚して』




小説家のわりにシンプルな言葉。



だからこそ、心の底にまで響いた。




だけど、返事をする間を与えられなかった。
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