立花さんから言われた「自分と向き合え」という言葉を振り返っていると、ふと、目の前に眠る母は、何度自分と向き合いながら進んできたんだろうと思った。
子供のためとはいえ私のために離婚を決断し、一人で私を育てる道を選んだ。
看護師という職はあったものの、女手ひとつで育てるということは大変だ。
投げ出したいと思ったことは無かったのだろうか。
かつて母に一度だけ聞いたことがあった。
国連の医師団に同行する看護師であったこと。
世界中の医療を受けられない人たちのために駆け回っていた頃の話
母は私の妊娠と共に日本へ戻ってきたらしい
やりがいのある仕事を諦めた母。
どんな気持ちで決断したのだろう。
その後だって、きっといくつもの事を諦めてきたんだろう。
そんな犠牲のもと育った私が、こんな状態だと知ったらどんなに悲しむだろう。
母のためにも前へ進まなくてはいけない。
静かな病室で一人強く決意をする。
「森嶋さん、そろそろ面会時間過ぎてるんでお帰りいただけますか」
コンコンと遠慮がちにノックして入ってきた看護師さん。
「大丈夫ですよ。なにかあったらすぐにお電話します。お任せください。森嶋部長には私たちがついてますから」
私よりもずいぶん若い看護師さんは、母の顔を見ながら微笑んだ。
子供のためとはいえ私のために離婚を決断し、一人で私を育てる道を選んだ。
看護師という職はあったものの、女手ひとつで育てるということは大変だ。
投げ出したいと思ったことは無かったのだろうか。
かつて母に一度だけ聞いたことがあった。
国連の医師団に同行する看護師であったこと。
世界中の医療を受けられない人たちのために駆け回っていた頃の話
母は私の妊娠と共に日本へ戻ってきたらしい
やりがいのある仕事を諦めた母。
どんな気持ちで決断したのだろう。
その後だって、きっといくつもの事を諦めてきたんだろう。
そんな犠牲のもと育った私が、こんな状態だと知ったらどんなに悲しむだろう。
母のためにも前へ進まなくてはいけない。
静かな病室で一人強く決意をする。
「森嶋さん、そろそろ面会時間過ぎてるんでお帰りいただけますか」
コンコンと遠慮がちにノックして入ってきた看護師さん。
「大丈夫ですよ。なにかあったらすぐにお電話します。お任せください。森嶋部長には私たちがついてますから」
私よりもずいぶん若い看護師さんは、母の顔を見ながら微笑んだ。

