「おい」と友田が立花さんの肩を掴んだ。



振り向かされた立花さんは、友田の顔をキッと睨み




「自分のこともちゃんと始末できない男が綾のことを幸せにできるのか?

半端なことしてるから綾が泣くんだろう。責任と覚悟ができてからガタガタ言えよ」



そう言って友田を突き飛ばす。


反論ができなかった友田の喉がグッとなった気がした。







私を担いだままその場に友田を残して歩き出す立花さん。


そこから一歩も動けない友田がどんどん遠くなっていく。




「立花さんっ!」





ドンドンと背中を叩いてみるも、全然立ち止まってくれる気配がない。





「綾、少し静かにしてろ。じゃないと黙らせることになるよ」



「……っ」





静かだけれど、有無を言わさない力のある声で私を威嚇する。



その声色に恐怖を覚えて、動きを止めてしまった。