立花さんに掴まれた肩を振り切り友田の方へと向き直ろうとする。



だけど、離れた手はすぐまた私の肩を掴み、それを許してくれない。




そしてまた
押し出されるように前へと進む。




だけど、このままじゃ嫌なんだ。
傷つくならちゃんと傷つかなくちゃいけないんだ。



「立花さんっ」


「綾っ」



私が抗議の目を立花さんに向けたのと、友田が横から回り込んで私の腕を掴んだのはほぼ同時だった。



「触るな」




握られた手を立花さんが引き剥がす。
その勢いでよろけた私の腰に手を回し、自分の方へと引き寄せながら、もう片方の手は友田の胸ぐらを掴んでいた。



「お前、どれだけ綾のことを泣かせんだよ。お前は自分でこの手を離したんだろ?
もう、俺のモノだ。近づくな」




地を這うような低くて冷たい声で吐き捨てるように投げつけた言葉。



そして、私の体を担ぐようにして歩き出した立花さん。




「や。立花さんっ下ろして……」




バタバタと足を動かして抵抗するけど、まったく通じない。



「綾っ」



駆け寄ってきた友田。