押されて前に歩を進める。



立花さんが友田に投げた言葉



『俺の女だから』




どうしてそんなこと言ったのだろう。


「立花さん、ちょっとーー」



振り返り真意を確かめようとするけれど、背中を押す立花さんの力は弱まらず、そのまま出口まで来てしまった。



このままじゃ、えりさんのシナリオどおり私が立花さんと結託して友田に近づいたんだって、余計誤解されてしまう。




「待ってください」




足を踏ん張り、歩を止める。




「歩けよ。お前にとってもこの方が都合がいいだろ?アイツと別れたいんだったよな」



「……」




無表情の立花さんに、何も言い返すことができなかった。



確かに、友田との別れを望んだのは私だ。

このまま友田の誤解を解かずにいれば望んだ結果がもたらされる。




だけど、楽しかった思い出まで偽りだったと思われたくない。


二人で笑い合った穏やかな日々が頭の中に一気に甦る。





嫌だ。



このままこの思い出までが黒く塗り潰されてしまうのは。



誤解を解かなければ