【続】恋愛のやり直し方

無意識に後ずさっていた。




「ごめんなさい」が口からこぼれた。



それが、何に対しての謝罪なのか自分でも分からなかった。





普段なら掻き消されてしまいそうな小さなその声は、静まり返った室内に響き渡る。



「やっと認めたのね」



笑いを含んだえりさんの声でハッとした。


『ごめんなさい』は、彼女の仮説を肯定する意味にもとれる。




そんな意図は無いことを友田に伝えなくてはーー




「綾……?」




写真から視線を私の方へ向けた友田の声になら無い声。




そして、ユラユラと揺れる虚ろな瞳。






……もうダメだ




後ずさっていた足を止め、回れ右する。



そこから一気に出口に向かって走る。





「綾!」



叫び駆け寄ろうとする友田の声。


「直樹!行かないで」



それを止めるえりさんの声。






二人の言い争う声がしたけど、振り返らなかった。




勢い良く玄関を飛び出した。