気分が上昇した私は、美味しい料理とお酒と、時々顔を出しては立花さんの幼い頃の話をしてくれる女将……錦野さんとの会話のおかげで、久し振りに心から楽しめる時間を過ごした。
錦野さんが話す立花さんの幼少期は、どこにでもいる普通の男の子そのものだった
そして、それを話す錦野さんの顔が愛情溢れる母の顔で、話されるのを嫌がる立花さんの顔は、ムスっとしながらもどこか嬉しそうにも見えた。
そんな二人の様子が微笑ましくて少しだけ嫉妬するほど羨ましかった。
錦野さんの話の端々から、立花さんへの愛情が伺い知れたし、それは、彼の父親も同じように感じたからだ。
生まれは婚外子として始まったかもしれない。
だけど、彼にはしっかりとした愛情の元で育っていた
それは、私にとってはどんなに羨ましがっても手に入れられない父親の愛情だった。
あぁ、立花さんの愛情深さはこれが由縁なんだと妙に納得した。
錦野さんの暴露話にこれ以上ここにいれないとばかりに立花さんが席を立った。
見送りに出てくれた錦野さんは私にだけ聞こえるようにそっと耳打ちする
「あの子にも『立花』を忘れられる時間が必要なのよ。綾さん、どうぞよろしくね」
「……はい。私でお役にたてるかどうか分かりませんけど」
錦野さんが話す立花さんの幼少期は、どこにでもいる普通の男の子そのものだった
そして、それを話す錦野さんの顔が愛情溢れる母の顔で、話されるのを嫌がる立花さんの顔は、ムスっとしながらもどこか嬉しそうにも見えた。
そんな二人の様子が微笑ましくて少しだけ嫉妬するほど羨ましかった。
錦野さんの話の端々から、立花さんへの愛情が伺い知れたし、それは、彼の父親も同じように感じたからだ。
生まれは婚外子として始まったかもしれない。
だけど、彼にはしっかりとした愛情の元で育っていた
それは、私にとってはどんなに羨ましがっても手に入れられない父親の愛情だった。
あぁ、立花さんの愛情深さはこれが由縁なんだと妙に納得した。
錦野さんの暴露話にこれ以上ここにいれないとばかりに立花さんが席を立った。
見送りに出てくれた錦野さんは私にだけ聞こえるようにそっと耳打ちする
「あの子にも『立花』を忘れられる時間が必要なのよ。綾さん、どうぞよろしくね」
「……はい。私でお役にたてるかどうか分かりませんけど」

