【続】恋愛のやり直し方

「綾のその顔に惚れたんだ」


「は?」





立花さんの突拍子もない発言に、燻り始めたいイライラはどこかへ吹き飛んだ。



あっと開けた口を閉じる事をしばらく忘れてしまった。




ハッとして口を閉じ、立花さんへ抗議の目を向ける。





「ごめん。ごめん。からかってるつもりはないんだけどね。

お詫びに俺の秘密教えてあげる。それで、綾のモヤモヤが随分スッキリするはずだよ」



まるで私の心のなかを見通したようにクスリと笑う。



くやしいけど、その顔は美しい。




ジャケットを脱ぎ、シュルリと引き抜いたネクタイ。

その仕草が妙に色っぽくて、思わず目をそらしてしまう。





くつろぎモードになった立花さんは、私の正面に座り直した。




「あの人が俺の母親なのは事実。俺、立花家の養子なの。親父は別に本妻がいる。

16才まで『錦野』で生きてきて、突然『立花』になった」