その顔が浮かんだだけでキューっと胸が苦しくなる。



なぜこのタイミングでなぜと思う。

だけど、記憶の奥から引っ張り出された思い出




それは、大物作家のパーティに友田の同伴で行ったとき。



あのときも斎藤さんに変身させてもらった。




そしてこの道を通った。



あの時の眩しい笑顔が瞼にこびりついている。



息苦しささえ感じるほどに高鳴る鼓動。




「綾?どうした気分悪いの?」


そんな私の変化を敏感に感じ取ってくれる立花さん。




友田の顔を思い浮かべたらドキドキしちゃってなんて言えるわけもなく、曖昧に笑って見せるのが精一杯




「やっぱり緊張しちゃって…へへごめんなさい」




こんなことで立花さんは誤魔化せないと思うけど、これしか浮かばなかった。



これ以上突っ込まないでとひたすら祈っていると、プッと吹き出す立花さん





「ほんとお前は嘘がつけないね。もっとズルくならないと」



「……」