「……お前はホントに……」


「え？なんですか？」



目尻を下げて困ったような顔の立花さんは、何が言いかけてふと口を閉じる。



そして二度三度首を降り、フーッと息を小さく吐いた。



「何でもないよ。綾が楽しんでくれればそれでいいよ」



「さっき何か言いかけましたよね？何ですか」



私の事を言いかけてやめるなんて、すごく気になる。

ムスっとする私を横目でチラリと見てクスリと笑い、突然私の頬をつねった。




「いひゃい」


「ふっ。今攻めるのはフェアじゃないからね。綾がどんなに膨れっ面しても教えないよ」



つまんだ手を離すとそれっきり前を向いて運転をする立花さんの横顔を見ながら、もうこれ以上何をしても話してくれるないんだろうと諦めることにした。


フカフカのシートに身を埋め、外の景色に目を向ける。





傾きかけた日差しが直接目に入って眩しい。
目を閉じた私の瞼になぜだか友田の顔が浮かんだ。





なんで……今その顔が浮かぶのよ。