【続】恋愛のやり直し方

「……すごい……」



それしか言葉がでなかった。
柔らかい印象しか残さないその顔は、まるで温室で、いかなる外的からも守られて育てられてきたような女の顔を連想させる。



傷なんてひとつもついていません。って顔。




本当に魔法をかけられているんじゃないかとさえ思える。


自分の顔なのに、自分じゃないみたい。




幸せが滲み出ているような顔




「やだ、せっかくのメイクが崩れちゃうじゃない」



慌ててティッシュとパフを手にする斎藤さんに申し訳なく思いながらも、止めることができない一滴の涙。




「……めん…なさ…い」



下瞼にギュッとあてられたティッシュを受け取り謝る。




「もういいわよ。今晩はこの世の中で一番幸せな女の顔して楽しんでいらっしゃい」




「はい」




軽く直された顔。

斎藤さんの魔法は、私に自信を与えてく。


たった一晩かもしれない。
だけど、今日だけは誰にも負けないくらい幸せな女でいよう