【続】恋愛のやり直し方

ここを離れてからの月日は浅いのに、 もうそこは自分のテリトリーではなかった。



よく知った道なのに、他人の家に上がり込んだときのようにソワソワして、居心地が悪い。





体が素直に『ここが私の居場所ではない』と反応する。

だったら、私の居場所は今どこなんだろう。と問いかけてもすぐに場所が浮かばないことに苦笑した。






気づけば足早にタワーマンションの前まで来ていた。



はるか頭上にあるタワーの天辺を見上げながら、そういえば初めて来たときもこうやって見上げて、この高さに圧倒されたな。



あの時には、こんなことになるなんて思ってもみなかった。




変わらずそびえ立つマンションを見ながら、いまこのドアから友田が出てきそうに思えてドキドキする。




そんなこと……あるわけないのに。




視線を横に移すと、当然ながら友田の車も停まってない。






どこまで未練を引きずってるんだ。




懐かしさからここへ立ち寄ってしまったことを後悔した。


まだ、綺麗な思い出に整理されてない感情が、どんどん膨れ上がり、現実との差を改めて思い知らされて落胆し、ダメージを与えてくる。





「はぁー」






「お前はまたスゴいタイミングで現れるな」