【続】恋愛のやり直し方

私の言葉を聞いて、何のことだかすぐに察した真理子は「何のこと?」と、とぼけた。





「私に明日からやることを与えてくれてありがとう」




そう言って彼女のお腹に手をあてる。

まだ外からは伺い知れないお腹の中に、確実に命があるなんて、なんだか不思議だけれど。




明日からこの子の将来のことを、考える日々が始まると思うと、さっきまでウジウジしていた自分が嘘のように思えてくる。



そうやって、少しずつ頭の中に新しい出来事を入れていけば、いつかは友田の事を考えることも無くなるだろうと思う。




ううん。
そう願ってる。




同じように友田にも、私との事が記憶の隅に仕舞われる日がくるのだと思うと、身勝手にもチクリと胸が痛むけど。




でも、できることなら、楽しかった思い出だけは時々思い出してくれるといいな。なんて、更に身勝手な願い。




「綾、気の済むまでここにいて良いんだからね。私も綾がいてくれた方が安心するし」



「ありがとう真理子」




私の手に手を重ねる真理子の顔は、愛溢れる母親の顔だった。