「オヤジはその時の断言通り、俺をちゃんと育ててくれました。
今年の正月にオヤジに、俺が生まれた頃の話を聞いたんです。
詳しい経緯は聞けなかったんですけど、オヤジに会った頃のお袋は、見てられないほどボロボロだったらしくて、俺がお腹にいるのを知ったオヤジは、お袋よりも俺の事を思って父親になろうと決めたって言ってました」
「すごいね。お父さん」
「そうなんですよ。見た目はダサい中年オヤジなんですけどね。
そんな話を聞いた後で、坂下さんのお腹に子どもがいるのを知って、しかも一人で産むなんて言い出すから、もうこれは運命なんだって思ったんです。
オヤジに育ててもらった俺が、今度はこいつのために生きるんだって」
胸を張って言い切る竜くんを、頼もしいと思う。
だけどーー
「だから、別に運命なんかじゃないって言ってるでしょ。勝手にそんな使命感持たないでよ。迷惑」
バッサリと竜くんの気持ちを切る真理子の気持ちも分かる。
だって、この子の一生は『ままごと』じゃない。
やっぱりダメだった。なんて許されない。
子どもを守れるのは、母親である真理子だけなのだから、彼女が竜くんの感じてる『運命』に賭けるなんて危ない橋を渡れるはずがない。
今年の正月にオヤジに、俺が生まれた頃の話を聞いたんです。
詳しい経緯は聞けなかったんですけど、オヤジに会った頃のお袋は、見てられないほどボロボロだったらしくて、俺がお腹にいるのを知ったオヤジは、お袋よりも俺の事を思って父親になろうと決めたって言ってました」
「すごいね。お父さん」
「そうなんですよ。見た目はダサい中年オヤジなんですけどね。
そんな話を聞いた後で、坂下さんのお腹に子どもがいるのを知って、しかも一人で産むなんて言い出すから、もうこれは運命なんだって思ったんです。
オヤジに育ててもらった俺が、今度はこいつのために生きるんだって」
胸を張って言い切る竜くんを、頼もしいと思う。
だけどーー
「だから、別に運命なんかじゃないって言ってるでしょ。勝手にそんな使命感持たないでよ。迷惑」
バッサリと竜くんの気持ちを切る真理子の気持ちも分かる。
だって、この子の一生は『ままごと』じゃない。
やっぱりダメだった。なんて許されない。
子どもを守れるのは、母親である真理子だけなのだから、彼女が竜くんの感じてる『運命』に賭けるなんて危ない橋を渡れるはずがない。

