【続】恋愛のやり直し方

「ほら、ちゃんと説明しなさい」って竜くんを小突く真理子の口調は、上司そのもので、そこに甘さは１パーセントも存在しない。




もう、何がなんだか……




すると、ちょこんと私に向き直って座った竜くんが、んんっとひとつ咳払いをした。



「綾さん、俺、父子家庭の子なんです。母親は俺が二つの時に交通事故で逝っちゃったんです。それからずっと二人で暮らしてきました」


「え……そうなんだ」




竜くんがお父さんと二人で生きてきたのは、意外だった。



竜くんの所作ひとつひとつが、とても細やかだったから、てっきり気配りのできるお母様にしっかり躾されたのだろうと思っていた。





「それと、オヤジと俺、血が繋がってないんです。
だけど、息子の俺がいうのもなんですけど、スゲーいいオヤジなんです。

俺、オヤジと血が繋がってない事で悩んだこと一回もないんです。むしろ感謝しっぱなし」



竜くんの嬉しそうな顔から、ホントに自慢のお父さんなんだということはよく分かる。



それに、竜くんのまっすぐな人となりから、彼を育てたお父さんの人格は伝わってくる。