【続】恋愛のやり直し方

「………」




あまりに突然の真理子のカミングアウト。

頭がついていけるわけもなくて、ポカンと口をあけたままな間抜けな顔を、 随分な時間さらしてしまった。




目の前の真理子は笑いながらお腹を撫でている。



その姿は妊婦そのもので、まだお腹がふっくらとはしてないけど、彼女の醸し出す雰囲気はまさしく『妊婦』そのものだった。









多少、自分のなかで整理ができた頃、大事な事を忘れてた。


それは、彼女にとってはすごくめでたいこと。




「真理子、結婚するのね。おめでとう 」



私のお祝いの言葉を聞いた真理子は、すごく悲しそうな顔をして、首を横に振った。



「結婚はしない。できないの。

それと、綾にもこの子の父親の事は話せないわ。

父親がいないってハンディを生まれながらに背負わせてしまうのは申し訳ないけど、この子の父親にも、この子の存在は伏せておきたいの」



きっぱりと言い放った真理子。
その瞳の奥に揺れる感情が潜んでいるように見える。




もう三十路間近な同級生。
痛い恋愛のひとつやふたつあっても当然だと思う


実際私は、バツイチだし。





誰かを不幸にする恋愛を肯定する気もないけれど、その恋の後始末を彼女だけが負うってのは納得できない。




「真理子間違ってない？それはさ、自分一人の問題じゃないんじゃーー」



「いいの。あの人を好きになったときからもう決めてたの。私、都合の良い女になるって。

だから綾に何を言われても変わらない」



私の言葉を遮るように大きな声を出した真理子