とりあえず支度も何もない私は、そのままベッドを、出て真理子の後を追う。
リビングに入ると、隣のキッチンから真理子が声をかける。
「その辺ちょっと退かしといて」
真理子の言うその辺は原稿や資料で散乱している。
床にまで散らばった紙を広い集める。
「あ………」
手にした紙には、にこやかに笑う友田の顔。
いつもの営業用に綺麗な笑顔とは違って、クシャっとした笑顔。
写真なのに………
胸がギューっと苦しい。
「どぉ?いい顔してるでしょ。それね、今度の新刊のプロフィール写真に拝借しちゃおうと思ってね」
湯気がたち上る土鍋を手にやってきた真理子は、土鍋をテーブルに置くと、私の手にあった友田の写真を取る
「これ撮った時の記者に聞いたんだけどね、取材内容が『理想の女性』だったんだって。
いつもならサラリと差し障りのない事で流すらしいんだけど、この時はやけに具体的に話すから、『やけに具体的ですね 』って聞いたら、『実在する女性ですから当然ですね』ってシレっと答えたらしいわよ。
それって、綾のことでしょ?相変わらずメロメロよね」
右手でバシンと写真を弾く。
リビングに入ると、隣のキッチンから真理子が声をかける。
「その辺ちょっと退かしといて」
真理子の言うその辺は原稿や資料で散乱している。
床にまで散らばった紙を広い集める。
「あ………」
手にした紙には、にこやかに笑う友田の顔。
いつもの営業用に綺麗な笑顔とは違って、クシャっとした笑顔。
写真なのに………
胸がギューっと苦しい。
「どぉ?いい顔してるでしょ。それね、今度の新刊のプロフィール写真に拝借しちゃおうと思ってね」
湯気がたち上る土鍋を手にやってきた真理子は、土鍋をテーブルに置くと、私の手にあった友田の写真を取る
「これ撮った時の記者に聞いたんだけどね、取材内容が『理想の女性』だったんだって。
いつもならサラリと差し障りのない事で流すらしいんだけど、この時はやけに具体的に話すから、『やけに具体的ですね 』って聞いたら、『実在する女性ですから当然ですね』ってシレっと答えたらしいわよ。
それって、綾のことでしょ?相変わらずメロメロよね」
右手でバシンと写真を弾く。

