こうして声を殺して泣くのはどのくらいぶりだろう。
昔は良く母に気付かれないようにこうして布団に潜って泣いてた。
それがいつの間にか当たり前になっていて、一人で暮らすようになってからもこうして泣くことはあったけど……
友田と知り合ってからの私は、彼の腕の中でしか泣いた記憶がない。
そんなこと、今気付かなくてもいいのに……
その事実は私を更に悲しみへと沈めていった。
そのままどうやら寝てしまったらしい。
泣きつかれて眠るなんて、きっと酷い顔になっているだろうと憂鬱になる。
こんな所を竜くんに見られたら、また面倒だなと心配で、起きた事を気付かれないように布団に潜ったまま身動きせずに辺りを伺う。
少し開けられたドアから、暗い室内に漏れ入る隣の部屋の灯り。
カタカタとキーボードを叩く音と、微かに聞こえるテレビの音。
規則的に鳴るキーボードの音が止むと、はぁーと大きなため息が聞こえてきた。
その主は真理子だ。
ホッと安堵して布団から起き上がると、ドアの向こうからその音を聞き付けた真理子の声がした。
「綾?目醒めた?」
「うん……」
「開けるよ?」
「うん」
音もなく開けられたドアから一気に明るさが入り込んで、暗闇に慣れた私の目は視覚を失う。
昔は良く母に気付かれないようにこうして布団に潜って泣いてた。
それがいつの間にか当たり前になっていて、一人で暮らすようになってからもこうして泣くことはあったけど……
友田と知り合ってからの私は、彼の腕の中でしか泣いた記憶がない。
そんなこと、今気付かなくてもいいのに……
その事実は私を更に悲しみへと沈めていった。
そのままどうやら寝てしまったらしい。
泣きつかれて眠るなんて、きっと酷い顔になっているだろうと憂鬱になる。
こんな所を竜くんに見られたら、また面倒だなと心配で、起きた事を気付かれないように布団に潜ったまま身動きせずに辺りを伺う。
少し開けられたドアから、暗い室内に漏れ入る隣の部屋の灯り。
カタカタとキーボードを叩く音と、微かに聞こえるテレビの音。
規則的に鳴るキーボードの音が止むと、はぁーと大きなため息が聞こえてきた。
その主は真理子だ。
ホッと安堵して布団から起き上がると、ドアの向こうからその音を聞き付けた真理子の声がした。
「綾?目醒めた?」
「うん……」
「開けるよ?」
「うん」
音もなく開けられたドアから一気に明るさが入り込んで、暗闇に慣れた私の目は視覚を失う。

