【続】恋愛のやり直し方

強くなろうと思ったのに、結局なにも変わってない。



友田を信じて るなんて、自分でも白々しく思えてくる。





言えなかったのは、友田を信じきってなかったからなのかもしれない。





「綾?綾は悪くないよ。だから自分を責めるなよ。悪いのは俺だから……… 」



苦しげに吐かれた友田の声。

その声の裏側にあるのは何だろう。




ふと、以前、竜くんが吐いた言葉が頭を過る。




『越えなくちゃいけない障害はまだまだあるんですから 』



あの時はなんの事だかさっぱり分からなくて、そのまま耳を通過しただけだったけど、竜くんはこの事態 を知っていたのかもしれない。




考えてみれば友田の実家があの有名な緑風館だってことは、調べればすぐに分かるのかもしれない。



出版社が作家の素性を調べることなんて考えてみれば当たり前。

とんでもない人間の本を出版したとなれば、会社の信用問題にも発展するわけだから。




そっか………知らなかったのは私だけなんだ。



でも、いくら竜くんでも、私の生い立ちまで知るはずなんて無い。


それに、今こうしてえりさんという友田の婚約者を名乗る彼女の出現まで分かっていたのだろうか?




グルグルと頭の中に見過ごしてきた事実を思い浮かべる。



それは、外枠すら分からないジグソーパズルに挑んでいるようだった。



一つ一つ記憶を辿る。




どこからかけ違ったのだろう………




思えば、私が友田に結婚の話をし、あんなに結婚を急かしていた友田が急に『急がない』っていい始めた頃からなのかもしれない。


あの時は、私の気持ちを大事に汲んでくれていると思っていたけど、あれは確か、友田が実家に呼ばれて出掛けて………



その後訳もなくピリピリした空気を纏っていて………




「………っ!」