暖かい友田の胸の中トクントクンと鼓動が聞こえる。
それが、自分のものなのか、友田のものなのか………
あぁ、このままこの胸の中で眠ってしまえたらどんなにいいのだろう。
「綾………」
掠れた声。
顔だけ上を向こうとして、がっちり添えられた手によってそれを阻まれる。
「このまま聞いて」
「うん」
コクンと頷いた私の頭をヨシヨシと優しく撫でる。
「実家が旅館やってるのはホント。綾には頃合いを見て伝えるつもりだった。ただ、色々と………言い訳に聞こえるかもしれないけど、今はそのタイミングじゃないと思ってた」
「………」
「それから、綾の家の事。黙っててごめん。この前、実家に呼び出されたときに亮子さんから聞いた。
すぐに綾に事実確認をしようかって思ったんだけど、いつか綾の口から聞ける日まで待っていようって思った」
コクンと返事をするだけで精一杯だった。
私の生い立ちについて、『 私の口から聞きたかった』 という友田の言葉に、胸が詰まった。
私も、自分の口から伝えたかった。
こんな形で伝わるのなら、もっと早くに自分の口で伝えなかったのだろうと、もうどうしようもない後悔。
弱い自分が招いた結果。
それが、自分のものなのか、友田のものなのか………
あぁ、このままこの胸の中で眠ってしまえたらどんなにいいのだろう。
「綾………」
掠れた声。
顔だけ上を向こうとして、がっちり添えられた手によってそれを阻まれる。
「このまま聞いて」
「うん」
コクンと頷いた私の頭をヨシヨシと優しく撫でる。
「実家が旅館やってるのはホント。綾には頃合いを見て伝えるつもりだった。ただ、色々と………言い訳に聞こえるかもしれないけど、今はそのタイミングじゃないと思ってた」
「………」
「それから、綾の家の事。黙っててごめん。この前、実家に呼び出されたときに亮子さんから聞いた。
すぐに綾に事実確認をしようかって思ったんだけど、いつか綾の口から聞ける日まで待っていようって思った」
コクンと返事をするだけで精一杯だった。
私の生い立ちについて、『 私の口から聞きたかった』 という友田の言葉に、胸が詰まった。
私も、自分の口から伝えたかった。
こんな形で伝わるのなら、もっと早くに自分の口で伝えなかったのだろうと、もうどうしようもない後悔。
弱い自分が招いた結果。

