【続】恋愛のやり直し方

驚く私の目のなかにいる友田は、気まずい表情を浮かべている。



「知ってたって……どういうこと？」



「あぁ、この前実家に呼ばれて、亮子さんに見せられた。綾の調査書。

ホントはすぐにでも言わなくちゃいけなかったんだ。だけど、綾を傷つけると思ったら……って言い訳だね。ごめん」


目尻を下げて申し訳なさそうに佇む友田。



なんだ知ってたのか。どう切り出そうかあんなに悩む必要なかったんだと落胆する気持ちと、 触れられたくない過去がどんどんと広まっていく事への 苛立ちも生まれてくる。



友田が悪いのではない。それは分かってる。だけど、矛先が見当たらない怒り。



遡れば亮子さんにあの調査書を見せられたときに感じなくてはいけなかった怒りが、今ごろになって沸いてくるなんて。



どれだけバカなんだ私。




はぁーっと自分に呆れて大袈裟に 溜め息を吐いてやりたい。





時間を遡れるなら、亮子さんに会ったあのときに戻ってこの怒りをぶつけてやりたい。



無理だけど。




「綾？大丈夫？」



コロコロと変わる心情が顔に出ていたのだろう。 友田は 少し戸惑いの色を含んだ声を出した。



どう答えたらいいんだろう。
私の心情からすると『大丈夫』なんて言えない。


だけど、友田を困らせたくはない。




曖昧な笑顔を向ける。
それが今の精一杯だった。


すると、そんな私の気持ちを読み取ったのか、「綾………」と切なげなに呟いてグイっと私の腕を引き寄せた。