【続】恋愛のやり直し方

一秒でもその場にいたくなかった。



なにより、一番しられたくなった友田に、よりによって自分の口以外から知らされてしまった。




『犯罪者の娘』




私自身もついさっき知らされたこと。



えりさんの母親である亮子さんの手から投げられた『調査書』の中に書かれていた真実。




私の父親は、私への虐待を、私の母親に通報され逮捕された。



もともと傷害の前科があったらしく、懲役刑となったらしい。




母は、今日まで私にこのことを一切話さなかった。

それは、私への配慮なのだろうと思う。




虐待されたのは私だけど、私によって刑務所へ入らなくてはいけなくなった父親。



その事実を聞かされたいたのがもっと前なら、私は自分を攻め、自分の存在をもっと否定した人間になってたと思う。




それを、 母はわかっていたんだと思う。




「綾…」



えりさんのカップを片手に立ち上がる私に友田が声をかけた。




だけど、その声に答えてしまったら、なんとか保っている今の自分を崩してしまいそうで、聞こえないふりをした。