【続】恋愛のやり直し方

「直樹！まだ分からないの？あなたの意思なんて関係ないの。緑風館………あなたのお母様が愛したあの旅館を潰してもいいの？」


「えり………それはーー」



大声を張り上げるえりさんに少しも動揺せず冷静な態度を貫く友田。



そんな彼にしびれを切らしたのか、今度は私に鋭い視線を向けて話始める。




「アナタ知ってるでしょ？直樹が緑風館の跡取りだってこと」


「………はい」



友田が緑風館の跡取りだということは、友田からではなく、彼女の母親…亮子さんに聞かされていた。



私の応えに驚いたのか、友田が私の顔を振り返る。




「ごめんね。今日、亮子さんに会ったの」


「………あや…」



私が亮子さんに会ったなんて、さすがの、友田でも予想できなかったのだろう。


私の名前を反射的に呟いたまま固まっている。



「知っているのなら話は早いわ。緑風館を、継ぐってことは、その辺の旅館を継ぐってことと訳が違うの。

100人を超える従業員と、その何倍もの家族の人生を背負っていくってこと。
取引先まで数えたらどれだけの人の人生を背負ってかなくちゃいけないのか分からなくなるわ」