少しずつ、近づいてくる、笹原。

この空気何か苦手だ……。

私は、一番上段に本を戻すのに必死

ーーーなふりをする。


「付き合ってるの?」

「はぁ!?なに言って……」


トン……。


私の後ろに立った笹原が、私の顔の横に手を着いた。

驚いて、身を強ばらせる。


「ーーーっ!?」


「アイツが好きになった……?」

耳元でささやかれて、一気に顔が熱くなった。

笹原の肘が曲がり、距離が縮まった。


「ち、違うっ」

「じゃあ、なんで名前で呼ぶの?」


「それは……っ!色々あったからで!」