ー 夜 ー 「……佐々木」 その一言で私は現実に引きずり戻される。 「……ん」 私は、まだ戻りたくないと目を開けることを拒否する。 「こんなとこで寝るなよ」 私はいやいや目を開けた。 笹原が私を覗き込んでいる。 その表情は呆れていた。 「風邪引くぞ」 やっぱりわたしはそっぽむいた。 「別に良い」 笹原が、グシャって私の髪の毛に触れた。 触られるのは、苦手だけど笹原は平気だ。 なぜだろう?