「……俺はロミオ」

その言葉に女子はドッと笑った。さっきまで入り口にいたはずの笹原は、いなくなっていた。


「……なんで……」

小さすぎる私の声は誰にも届くことはなかった。


「おーい、こっちの子サイズ合わないってー!」

廊下から、誰かの声が聞こえ、衣装班はぞろぞろと出て行った。

「じゃあ私も準備あるからっ!」
「あ、うん」

湖春も出て行く。

「はぁ……」

一人残された私は、すばやく制服に着替えた。


笹原、何か怒っているのかな。
私は思う。
私が……最近変だから、かな。


「うぁぁっ」


だめだ。考えてもわからない。余計に混乱してしてしまう。


頭をくしゃくしゃにかいた。そのまま、手に顔を預ける。

「……佐々木」

その声に私はバッと顔を上げた。

「残念。洸じゃないよ」


嘉島だった。

「……」

私は黙る。