昇降口につくと、背の小さな女の子が私に飛び付いてきた。


「琴那ぁー!久しぶり! クラス表見た?怜音が、四組。香澄が一組だよっ!クラス離れちゃったねぇ」


彼女は、相澤怜音。
小柄な身長、大きな瞳。
話すたびに小さく揺れる、ショートボブがよく似合っている。


「琴那。違うクラスでもよろしくね」


怜音の後ろで、優しく微笑んでいるのは、萩原香澄。背が高く、大人っぽい。

二人とも、一年の時に同じクラスだった。

「うん」


私は小さくうなずいた。


「ん、冬哉いたのか」


笹原がそう言い、私は振り返った。

私と笹原の背後に、竹刀を肩にかけた男子が立っていた。

彼は高橋冬哉だ。いつも不機嫌そうな顔をしているが、地顔だ。



高橋は、香澄のお隣さんで、幼馴染み。香澄と怜音は中学から。
笹原と高橋は高校からの付き合いだ。



私はいつの間にかこのちぐはぐメンバーの一員になっていた。