「佐々木」
と、その時誰が私を呼んだ。
振り向かなくても、その声の主はわかる。
いつの間に来たのだろう?
私は振り向いて、何?と聞いた。
「ペンキ無くなりそうなんだって。
買いに行こう」
「わかった」
筆を置いて、立ち上がりかけた。
「あ、いいよ!琴那!」
「……え?」
湖春が私を制した。
私はその体制のまま固まってしまう。
「琴那は仕事の途中だし、あたしが行くよ」
「でも、」
「いいからいいから。行こっ、笹原!」
半ば強引に湖春は私を座らせた。
某然とする私をよそに、笹原の腕を引いて出て行ってしまった。
取り残された私はただぽかんとすることしか出来なかった。
「……なにあれ」
クラスメイトの一人が言った。
するともう一人が重ねるように言う。
「中学の時からそうだよ、湖春。
同中なんだけど。
湖春、洸のことだーいすきで。
洸と仲良い女の子と仲良くなって、引き離してた」
「えっ、そうなのー?」
と、その時誰が私を呼んだ。
振り向かなくても、その声の主はわかる。
いつの間に来たのだろう?
私は振り向いて、何?と聞いた。
「ペンキ無くなりそうなんだって。
買いに行こう」
「わかった」
筆を置いて、立ち上がりかけた。
「あ、いいよ!琴那!」
「……え?」
湖春が私を制した。
私はその体制のまま固まってしまう。
「琴那は仕事の途中だし、あたしが行くよ」
「でも、」
「いいからいいから。行こっ、笹原!」
半ば強引に湖春は私を座らせた。
某然とする私をよそに、笹原の腕を引いて出て行ってしまった。
取り残された私はただぽかんとすることしか出来なかった。
「……なにあれ」
クラスメイトの一人が言った。
するともう一人が重ねるように言う。
「中学の時からそうだよ、湖春。
同中なんだけど。
湖春、洸のことだーいすきで。
洸と仲良い女の子と仲良くなって、引き離してた」
「えっ、そうなのー?」

