「琴那ちゃんはぁ、洸くんとどうなったの?」
文化祭の準備で、看板に色を塗っていた時のことだった。私の隣で作業していた萌が唐突に言った。
「は……?」
私は驚いて筆を落としそうになった。
萌は大きな瞳をくるん、と回して私を見つめる。
「あっ、それウチも気になる!」
「そうそう。2組の子は皆気にしてるよね」
すかさず、近くで色塗りしていたクラスメイトが顔を寄せ始めた。
私はぐるりと教室を見渡して、笹原がいないか確認する。
我らが2年2組が文化祭で使う教室は、本校舎にある空き教室。なので、普段の教室とここに別れているのだ。
笹原は2組の教室にいるみたいだ……。
「なんで、いきなり」
私はうろたえる。
「ほら!買い出し係決めた時!」
「佐々木さん、洸に言われて仕方なく……って感じだったじゃん!」
萌がコクコクと頷く。
「だから、もう付き合ったのかと思っちゃった!」
無邪気な笑顔を浮かべる萌。
「なんもないって」
私は首を振りながら言った。
周りの子は顔を見合わせた。
「でも、洸は佐々木さんにべったりだよね。いっつも一緒だし」
そのうちの一人が言う。
「それは……私のことからかって遊んでるから」
「それが珍しいんだよ、佐々木さん!」
ずいっと、その子が指を突き立ててきた。
まるで探偵みたいに。
文化祭の準備で、看板に色を塗っていた時のことだった。私の隣で作業していた萌が唐突に言った。
「は……?」
私は驚いて筆を落としそうになった。
萌は大きな瞳をくるん、と回して私を見つめる。
「あっ、それウチも気になる!」
「そうそう。2組の子は皆気にしてるよね」
すかさず、近くで色塗りしていたクラスメイトが顔を寄せ始めた。
私はぐるりと教室を見渡して、笹原がいないか確認する。
我らが2年2組が文化祭で使う教室は、本校舎にある空き教室。なので、普段の教室とここに別れているのだ。
笹原は2組の教室にいるみたいだ……。
「なんで、いきなり」
私はうろたえる。
「ほら!買い出し係決めた時!」
「佐々木さん、洸に言われて仕方なく……って感じだったじゃん!」
萌がコクコクと頷く。
「だから、もう付き合ったのかと思っちゃった!」
無邪気な笑顔を浮かべる萌。
「なんもないって」
私は首を振りながら言った。
周りの子は顔を見合わせた。
「でも、洸は佐々木さんにべったりだよね。いっつも一緒だし」
そのうちの一人が言う。
「それは……私のことからかって遊んでるから」
「それが珍しいんだよ、佐々木さん!」
ずいっと、その子が指を突き立ててきた。
まるで探偵みたいに。

